舞台『母に欲す』を観ました。
17時34分——— 渋谷・パルコ７F・マイメロディーカフェ前にて
マイメロディーカフェ前行列
横目にぶらぶらと暇そうに歩いている女
立ち止まる女
携帯をリュックから取り出す
（携帯のコール音 数回）
（電話相手：実家の母親）
私「あ。お母さん？あ、忙しい？パート（夕刊配達）終わった？」
母「もーほんまあんたは忙しいタイミングでいつも連絡してくるな。お母ちゃん、ピアノ火曜日に変わった言うたやろ？
今からピアノやねん。なんなん？」
私「いや、実はさ今舞台見てん。しかもパルコで」
母「パルコ？なんなんそれ。」
私「あー・・・（説明の仕方に戸惑う女）」
ぶらぶらと何度もマイメロディーカフェの行列横を行ったり来たりする女
私「いやあれや。渋谷や。なんか期間限定？なんかな？マイメロディーカフェっていうのあってめっちゃ並んでるわ。横。」
行列を横目にみる女 店内では店員がせわしなく注文をとっている
母「平日に暇があって金あるやつばっかやな。東京は。で何みたん？舞台」
私「あれ、峯田でてるやつ」
母「峯田って誰やねん」
私「あれやん、（少し声が大きくなる女）私が中学校の時めっちゃ聞いてたやん。佳代〜ってやつ。アレのボーカル」
母「あー！あれな！高塚高校（実家の近所の高校）出身のあいつらな。」
私「お母さんそれちゃう、それロードオブメジャーや。お兄ちゃんの缶ペンにステッカー貼ってたバンドや」
母「あー！あれか！バンド名かわったやつやろ？」
私「そうそう。そのボーカルと、池松壮亮が出てる舞台を見たんやけどな…」
母「あ！ラストサムライの子？お母ちゃんあの子演技上手いから好きやわぁ」
人と肩がぶつかり、会釈する女
私「・・・・。まぁええわ。ひとまずさ、腹立つけどちょっと泣いてもたわ。 やっぱり動物・子供・母親はせこいよな！！」
母「ははは（笑）どんな話やったん？」
私「『母に欲す』っていう舞台でな、まぁマザコン舞台やわ。お母さんが死んで、兄弟と父親が何もできなくて、
代わりの母ちゃんがきてそれに惚れるというか、なんかそんな感じ。」
母「ははは笑ようあるやつやな。それで寂しなってあんた電話してきたん？」
鼻をかく女
私「んなわけないやん。いや、私はさ、父親っ子としてやっぱなんか、お父さんが可哀想でしかたなかったわ！！！」
母「お父さんは誰がしたん？」
私「田口トモロヲ」
母「ほんま！？すごいやん！」
私「いやほんまな。ええ声やったわ。ただそれが可哀想でさ。
親父はお母さんがいなければ何もできないわけよ。でも実はすごい息子の事も気にかけてて。
でかわりの母親を連れてくるんやけどさ、結局息子達は代わりの母親でさえ、
親父よりもお母さんお母さんってなるわけ。それがめっちゃ可愛そうやなぁって思って」
母「けど、あんたな、息子はお母ちゃんお母ちゃんいいながら
彼女ができたらそこに『母親』を見てお母ちゃんを捨ててそっちにいくねん。結局そんなもんや」
私「がはははは(笑)ほんまやな、だから私はそういうダメな男に愛されやすいんやろな。お母ちゃんっぽいから」
手を叩きながら笑う女
母「は？それは自分のこと褒め過ぎや」
私「はぁー？？？(笑)ま、でもさお父さんのこと取り上げる舞台ってほんま少ないよな。だから腹立つわ。
お母ちゃん、お母ちゃんって」
母「そう思えば、お父ちゃんも靖国神社いった時いってたわ。
（特攻隊の人たちとかの遺書を読んで）『皆、お母ちゃんお母ちゃんやなぁ・・・』って」
母・私「「がはははは！！！」」
手を叩いて笑う女 電話の向こうの母親も手を叩いている
母「まぁさ、あんたそうおもうんやったらちゃんとお父ちゃんに電話したりや。色々心配しとったで。あんたの事(恋愛面で)」
鼻をかく女
私「あぁ…。まぁええやん…ラインは送ってるで。野球の話ばっかりやけど」
母「お父ちゃんはな、セコいねん。ほんまはあんたのこと心配で心配で仕方なくて『ちゃんとしいや』って言いたいのに、
あんたに嫌われるんが怖いからお母ちゃんに『涼花（私）は元気なんか』『涼花はちゃんとええ男と付き合ってるんか』
『涼花は仕事ちゃんと大丈夫なんか』とかもう五月蝿い五月蝿い！！ブラコンとかみたいな感じや、ドーターコンや！！」
私「はははは！笑わかった。また連絡しとくわ。生きてますって。
でもお父さん今度野球砂かぶり席（一番高い席）で見るってテンションめっちゃ高くメールきてたで。」
母「え・・聞いてないけど」
私「あ…（いらん事言ってもた）」
チラチラと行列を見渡す女
母「それいつなん？」
私「いや・・・いつやったかな…あ！じゃ、トイレいくわ！ピアノ頑張って◯もらいや！じゃーねー」
(ツーツーツー)
電話を切る女
前をむいて階段の方に歩いて行く女
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
というわけで、「母に欲す」(http://www.parco-play.com/web/program/hahanihossu/)を観ました。
峯田の背中、エヴァンゲリオン初号機っぽくて興奮しました。
