ぶろぐはぶろぐ。

私が魔法少女になれなかったわけ。(1) 26歳

初めて『なかよし』を買った日のことも、
初めて『セーラームーン』の髪型をしてもらった日の事も、
初めて『応募者全員大サービス』に応募した日の事も。
私はもう全て覚えていない。

それでも、私は
普通の女の子が、ある日突然現れた喋るライオンやネコ、妖精によってある日突然『魔法少女』に変身し、家族や友達に秘密の中、何かと戦いそして成長していく姿にずっと憧れていた。『ブスでメガネ』がコンプレックスで、『何か毎日を変えたい』と感じていた私に、『いつか私もさくらちゃんや、姫ちゃん、セーラームーンのように変身して、変わるんだ。』と夢を与えてくれたのが、『なかよし』なのだ。(※姫ちゃんのリボンはりぼんですが)





セーラームーン』が今流行っているツイートなどを見ると少しイラッとする。

私が小学生の頃、隠れキリシタンのように『なかよし』を読んでいた時。
セーラームーン見てるやつってまだいるの?笑』などとからかわれている中、
こっそりと毎週セーラームーンを見ていた時。

お前ら(ビレバンセーラームーンのグッズを買い、愛☆まどんなのステッカーをオシャレにPCにはっている奴ら)は
『りぼん』を買って私の事を迫害していたじゃないか。

変身するなんてまだ信じているの?と馬鹿にし、
グッドモーニングコール』や『こどものおもちゃ』を読み、
恋愛だのキスだのにときめいていたじゃないか。


一方その頃の私はどうだ。
親にお願いして、アニメイトにいきカードキャプターさくらのクロウカードを買ったり、『汝のあるべき姿に戻れ』だとか、寝る時は枕元にケロちゃんの人形をこっそり置いて、ある日突然ケロちゃんがしゃべりだすんじゃないかなと思って毎夜こっそり話しかけたりだとか…こっちは色々としてたんだよ。

それなのに。
セーラームーンやさくらちゃんのグッズがでても、本当になかよしを読んでいた人たちには届かない。シールダスやカードダスを必死に集めていた私には届かない。全てリボンを好きで恋愛だとかキスだとか小学3年生の頃から『恋愛』にあこがれていたあの子達の元に、変身グッズのレプリカは届いてしまっていた。

誰も、さくらのネックレスを持ってもこうは唱えないのだ。
『契約の元◯◯(自分の名前を当てはめて)が命じるレリース』と。





小学1年生からメガネをかけて、髪の量も多く
決して『かわいい女の子』ではなかった私の唯一の救いが
セーラームーンみたいに、私も変身して素敵な女の子になりたい』と毎週
アニメをみてワクワクすることだった。

学年があがるにつれ皆『りぼん』を読むようになり、
ただでさえ、少し浮いた自分がさらに浮き始め、疎外感を感じだしていた頃、
『いつか私も魔法少女になれる』事だけを信じて、日々を過ごしていたのだ。

・・・いや、正式にいえば過ごしている。今でも。
今日も私は、さくらちゃんのスティッキのネックレスをクビからさげ、
ちびうさの時空の鍵を持ち歩き日々を過ごしている。
それは決して、『オシャレ』なんかじゃなくて、『かわいい』からだけでなくて、
『もしかしたら…』だなんて思っているからかもしれない。










でも残念ながら私はもう魔法少女になれない。
実は心のなかでもそれに気づいていて、その現実から目をそむけている自分がいる。

結局今の私は、当時りぼんを読み、『魔法』から『恋愛』へと興味の対象が移行し、
大人になっていった彼女達と一緒になってしまったのだ。

私は、魔法少女になる前に大人になったのだ。
コーラを好きだった子供が、ビールを好きになる。
ハンバーグを好きだった子供が、砂肝を好きになる。
エンジェルブルーを好きだった少女が、ルイヴィトンを好きになる。
ティーズブルーを好きだった少女が、SHIPSを好きになる。


魔法少女に憧れていた少女が、男の子を好きになる。





私はもう魔法少女にはなれない。
悲しくなって、空っぽになった気がした。
首からぶらさがった、さくらちゃんのスティッキをみて目を瞑る。


私は自分の力で強くなりたい。
私に力を下さい。


目を開いてもスティッキは大きくならない。



自分がどうしたいのか、考えなければいけない時がきた気がした。